これからの介護事業所の労務管理

2014年1月7日に投稿されたの人事労務ニュース

名古屋の介護業界に特化した社会保険労務士です

投稿日付は2014年1月7日

求められる労働法遵守の徹底

 既に周知のとおり、平成24年4月に施行された改正介護保険法において、介護事業者の「指定」・「更新」に影響を与える規定が新たに追加されました。

●過去に労働法(労働基準法、安全衛生法、最低賃金法など)に違反して罰金刑を課せられた介護サービス事業者については指定を認めない
●罰金刑を受けたときに都道府県知事または市町村長が指定を取り消すことができる

 上記の規定は、国や行政が「不適格な介護事業者を積極的に排除していく」というメッセージと捉えがちですが、本来の目的は「介護を担う人材の確保と介護サービスの質の向上」にあります。
 介護保険法が施行された当時の介護労働者数は約50万人です。その10年後には約135万人にもなり、2倍以上の増加となってはいますが、団塊世代(昭和22年〜昭和24年生まれ)が全員75歳以上となる平成37年には、労働力人口そのものが減少していくことが予想される中で210〜260万人程度の介護労働者が必要と推計されています。
 今後、介護サービスを利用する方が増加することは確実ですが、介護労働者においては平成37年には最大で125万人が不足し、このままでは、高齢者を支える介護サービス制度を維持できないことを意味します。
 国はこのような状況を踏まえ介護労働者の定着と新たな人材の確保を推進しなければなりません。
 しかしながら、介護・医療系の労働基準法違反事業者の比率は、全産業平均と比べても10%近く高い水準にあります。
 労基法が定めている労働条件の確保は最低限のものであり、また、介護労働者の処遇改善にも関係してきます。この労働条件の確保ができなければ、介護業界における人材の定着や優秀な人材の確保が非常に困難になります。
 そこで冒頭の労働法の遵守が介護保険法に盛り込まれたと考えられます。今後は行政も労働法の遵守を今まで以上に求めてくると予想されますので、労務管理の在りかたや見直しが重要になってきます。

(2014年1月7日)

このページの先頭へ

セントラル社会保険労務士法人

お気軽にお問い合わせください!

052-950-2347
営業時間 9:00〜18:00